コラム

母体血清マーカーテスト(クアトロ検査)について

2025.09.29

クアトロ検査とは

クアトロ検査は、妊婦さんの血液検査で行う出生前検査です。お母さんの血液中に含まれる4種類の成分(AFP、hCG、uE3、インヒビンA)を測定し、赤ちゃんに染色体疾患や神経管閉鎖障害がある可能性を推測します。採血だけで済むため、赤ちゃんに直接の影響はありません。

検査時期妊娠15週~
費用(当院)検査費2.5万円
検査対象疾患日本の認証施設では主に次の3つの染色体疾患を対象としています。 21トリソミー(ダウン症候群) 18トリソミー(エドワーズ症候群) 神経管閉鎖障害

※神経管閉鎖障害とは、妊娠初期に脳や脊髄をつくる管(神経管)が正しく閉じないことで生じる先天性疾患です。無脳症、二分脊椎、脳瘤などが含まれます。早期に見つけることで、出生後の治療や対応の準備を行える点がメリットです。

クアトロ検査の結果は確率で返ってくる。

クアトロ検査の結果は、疾患ごとに 分数(例:1/30、1/300、1/3000) の形で返ってきます。
この数値が基準値より高いか低いかで、陽性か陰性かが判定されます。

21トリソミー         1/200           →陽性(リスクが基準値である1/270より高い)
神経管閉鎖障害      1/6000         →陰性

ただし、この陽性・陰性の区切りは「病気の有無を白黒つける絶対的な線」ではなく、あくまで便宜的な値です。例えば21トリソミーの結果が1/300だったとき、判定は陰性ですが「どの程度安心感を持てるか」は、ご夫婦の考え方によります。

一般的にクアトロ検査の感度はNIPTと比べて低いと報告されている。

感度とは、「病気を見つける力」と言い換えることができます。

・21トリソミー(ダウン症候群)    :感度 約80%
・18トリソミー(エドワーズ症候群)  :感度 約70%
・神経管閉鎖障害           :感度 約75〜90%  (文献1)

感度が80%というのは、もし疾患を持つ方100人にクアトロ検査を行った場合、80人が陽性と出るという意味です。裏を返せば、20人は疾患があるのに陰性と出てしまうことになります。
一方、NIPTの感度は99%以上とされており、見逃しが起こる割合は非常に低いと考えられています。(文献2)

クワトロ検査は約5%-10%が陽性となり、羊水検査が必要になることがある。

クアトロ検査では、全体の 約5〜10% が陽性判定となり、その場合は羊水検査で確認が必要になります。つまり、10人に1〜2人は羊水検査に進むことになります(文献3~5)。
ただし、クアトロ検査で陽性となった方の中で、実際に疾患があるのは数%にとどまります(文献6~8)。100人が羊水検査を受けても、本当に疾患があるのは数人程度です。
一方、NIPTの報告によると、羊水検査に進む割合は約0.1〜1%で、そのうち実際に病気がある確率は21トリソミーの場合80〜99%です(文献9)。
クアトロ検査は費用を抑えられる検査の一つですが、羊水検査に進む割合が一定程度あることを理解しておく必要があります。

クアトロ検査のまとめ

・クアトロ検査は、妊娠15〜18週頃に行う採血だけの検査です。
・結果は「1/◯◯」という確率で返り、基準値をもとに陽性・陰性が判定されます。
・あくまで「可能性」を示す検査で確定診断ではありません。陽性の場合は羊水検査で確認が必要です。
・クアトロ検査は見逃しや偽陽性が起こることがあり、検査結果の解釈には注意が必要です。
・神経管閉鎖障害について調べられる点は、NIPTにはない特徴です。
・保険は使えず自費となります。

最後に

クアトロ検査は、結果が「確率」として示される検査であり、感度や特異度には限界があります。一方で、妊娠15〜18週に受けられ、神経管閉鎖障害の可能性を推測できる点は特徴のひとつです。

「費用を抑えながら検査を検討したい」「神経管閉鎖障害についても知りたい」と考える方にとって、検討できる選択肢の一つとなります。

クアトロ検査とNIPTのいずれにするか迷う方も少なくありません。遺伝カウンセリングでは、検査の意義や限界をお伝えし、ご夫婦にとって納得できる選択を一緒に考えていきます。検査の種類を決めていなくても、カウンセリングでご相談いただくことが可能です。

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2.Gil MM, Accurti V, Santacruz B, Plana MN, Nicolaides KH. Analysis of cell-free DNA in maternal blood in screening for aneuploidies: updated meta-analysis. Ultrasound Obstet Gynecol. 2022;59(1):74-84. doi:10.1002/uog.23664.
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7.厚生労働省. 「いのちとの出会い 出生前検査の現状と課題」.
8.日本出生前診断学会(JAMS).「母体血清マーカー検査とは」.
9.Japanese Association of Medical Sciences (JAMS). NIPT(新型出生前検査)について. 日本出生前診断学会 Webサイト. https://jams-prenatal.jp/testing/nipt/. Published 2024. Accessed September 11, 2025.